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ドイツ・マネーの盛衰 |
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ドイツ・マネーとハリウッド 「ミッション・インポッシブル2」「グリンチ」「ナース・ベティ」「トラフィック」「ワンダー・ボーイズ」(いずれも2000年公開)、そして「スターリングラード」(2001年)、これから公開予定のスコセッシ監督作品「ギャング・オブ・ニューヨーク」、モハメッド・アリの生涯を描いた「アリ」、そして三部作からなる「指輪物語」といった超大作には、ドイツ・マネーが使われている。製作費1億2,500万ドルと言われる「ミッション・インポッシブル2」にいたっては、100%ドイツからの資金で製作された。今やドイツ・マネーはハリウッド映画の重要な資金源だ。 映画は他人の金で作るもの ドイツ・マネーがハリウッド映画の資金源として利用されるようになったのは1990年代になってから。戦後急成長し、経済復興を果たしたドイツ。勤勉で貯蓄好きなドイツ人たちが、好景気とタックス・シェルター(優遇税制措置)を追い風に、ハリウッド映画に投資し始めた。 タックス・シェルターのあるドイツでは、映画に投資した額を全額経費として収入から控除することができ、節税になる。映画がヒットすれば良い投資にもなる。1997年の税法改正で、映画以外の産業への投資に対するタックス・シェルターが撤廃されたおかげで、裕福なドイツ人たちの映画投資熱が加速化していった。もともとは自国の映画産業を活性化するために考案されたタックス・シェルター。皮肉なことに、ドイツ・マネーはそのままアメリカに流れ、ハリウッド映画がこの恩恵を蒙るのだった。 好況なドイツでは、ハリウッド映画投資が盛んだ。ベルテルスマン、コンスタンチン、ヘルコン、キノウエルト、キルヒ、インターテインメント、セネターといった大手メディア企業は、株式公開で潤沢な資金を手にし、ハリウッド映画への投資を始めた。 投資の仕方は、映画の買い付けから、共同製作、映画製作会社への直接投資までさまざま。1999年にドイツからハリウッドへ流れた金は映画の買い付けだけで13億ドルといわれる。映画スタジオを買収するという目立つ投資はしないが、ドイツ・マネーはハリウッドの映画ビジネスを水面下で支えている。 ドイツの配給権の値段は、映画製作予算の20%から25%といわれ、日本の配給会社が負担する12%と比べてもかなりバブリーな価格設定になっている。ドイツの配給会社が北米を除いた全世界の配給権を買う場合の値段は、なんと製作予算の75%にまで高騰している。 ドイツからの投資と投資先
映画は節税対策? ハリウッドが、タックス・シェルターを利用して、映画を作り始めたのは1960年代、アメリカで始まった。1986年に税法が改正されるまで、自国の高額納税者がハリウッドのお得意様だった。近隣のカナダにもタックス・シェルターがあった。「ターミネーター2」(1991年)にはカナダ・マネーが使われた。 日本でもバブル時代には、タックス・シェルターを利用した映画投資が盛んだった。そのやり方は、日本に組合をつくり、投資家を募る。組合がハリウッド映画を購入する。組合はペーパー・カンパニーなので配給はしない。したがって、アメリカの配給会社に映画をリース契約する。そして投資家は投資額を経費として計上し、納税額が減るので節税対策になると言われた。映画がヒットすれば良い投資になるとの期待もあったのであろう。当時高額納税者であった不動産業者らがハリウッド映画の金脈だった。その後バブルが去り、タックス・シェルターも廃止された。次なる資金源として白羽の矢が立ったのがドイツの投資家という訳だ。 パラマウントが先駆者 パラマウント、ユニバーサルといったメジャー・スタジオはもちろんのこと、ミューチュアル、ニュー・ライン・シネマ、マンダレー、フランチャイズ、スパイグラスといった独立系製作会社もドイツ・マネーを資金源としている。とりわけパラマウントのドイツ進出がきわだつ。バイアコム(パラマウントの親会社)の元副社長で、現在独立してコンサルタントとなったデービッド・モルナーさんは、パラマウントのために過去4年間わたり総計15億ドルのドイツ・マネーを調達してきた。モルナーさんによると、一番ポピュラーな映画資金調達方法は、ドイツとイギリスの節税制度(セール&リースバック)、そしてカナダの補助金制度をミックスするやり方だ。これだけで製作費の45%をカバーできる。残りの製作費は海外の配給会社からの前払い金で補う。 マンダレーは、「スターリングラード」でも同様な資金調達を行った。この映画は、ドイツ・マネーとマンダレーの自己資金、そしてマンダレーが提携する海外配給会社からの資金で作られた。この映画で製作・脚本・監督を行ったジャン=ジャック・アノー監督は、「いろいろなところから資金が集まっているので、誰も映画の内容に干渉しないし、バランスよくできる」という。 映画製作費の高騰とはずれた時のリスクを考えると、資金調達は世界規模にならざるを得まい。海外からの投資と海外配給パートナーを組み合わせた調達方法は、これからもハリウッドを支えるであろう。
映像新聞2001年7月掲載 (c) 2001 Midori Mahl All Rights Reserved
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