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映画の作り方 |
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アメリカで映画を作る時の法律問題 1.映画の原作権 どうやって映画をつくるか?まず、映画の原作になるストーリーが必要だ。ソースとして、(1)オリジナルのアイデアに基づいて映画を作る。コメディ系の映画はオリジナルが多い。(2)文学やコミックスなどの出版物を基にする。ベストセラーになると映画化されるチャンスが多い。(3)実在する人物や出来事、史実などのストーリーを脚色する。ドキュメンタリー系に多い。(4)映画のリメイク、前編や続編として作る。ヒット作をフランチャイズ化するスタジオが多い。ここでは、オリジナルのアイデアに基づいて映画を製作するとき起こりうる法律問題について解説する。 2.アイデアと表現 ハリウッドで頻繁に紛争となるのがアイデア盗用問題だ。映画がヒットすると、誰かが「あの映画は僕のアイデアだ。」と言ってくる。真偽のほどはわからないが、この手の訴訟は日常茶飯事だ。では、「アイデア」とは何か。守ることはできるのか? アメリカの著作権法上保護されるのは、「表現」に限られる。「表現」とは、「アイデアの表現」である。「アイデア」そのものは保護されない。したがって、アイデアは、だれでも自由に使用することができる。たとえば、「ある男と女が愛し合っているが、それぞれの家族が反目しているため、仲を引き裂かれ、悲劇的な最期を迎える」というコンセプトは、この段階では「アイデア」である。これが書物や脚本になり、主人公の会話、ある映像、音楽など、特定のアイデアが具体化された時、著作物として保護される。 3.著作権登録をする まず、アイデアができたら、トリートメントという2〜3ページくらいのあらすじにまとめる。トリートメントは、映画のエッセンスだ。このままでは著作物として保護されない。トリートメントを脚本に発展させる。脚本が完成すれば、これは立派な著作物。法律上保護されうる。著作権法上、著作権は、「表現が有形的な媒体に固定された」時に発生するからだ。では、どうやってこれを保護するのがベストか? 1976年著作権法では、著作権表示は保護を受けるための条件ではなくなったが、やはり自分のものには名札があった方が良い。まず、著作権表示をつける。脚本の表紙のページに、c記号、著作物の最初の発行の年、そして著作権者の名前を並べるだけだ。たとえば、c 2000 Midori Mahlと表示し、その下にAll Rights Reservedとすればなお良い。無断使用してはいけないという意味だ。第三者に見せる前に著作権表示をつけるのが良い。そして、著作権局に登録することをお勧めする。アメリカの脚本家たちは、脚本家組合(Writers Guild of America, サイトは、http://www.wga.org)に脚本のコピーを登録することが多い。これは、自分の書いた脚本の完成日を確定させるためだ。後で紛争が起こったとき、どちらが先に脚本を書いたのか証明できる。しかし、著作権局に登録すると、組合にはない利点がある。まず、創作後5年以内に著作権登録をすると、登録証に記載されたことがすべて事実であると法律上の推定を受ける。訴訟の際、自分が権利者であることを証明しなくて済む。また、訴訟で勝てば、かかった合理的な弁護士費用と、損害が発生していない場合でも法定の損害額を回復できる。著作権局での登録は簡単。登録申請書に必要事項を記載し、登録料と脚本のコピーを同封して、アメリカで申請すればよい。著作権局のサイトで申請書その他の情報が入手できる。(http://lcweb.loc.gov/copyright/) アメリカでの著作権は創作者の死後70年続く。 4.アイデアが盗用されたら? ハリウッドでは、アイデアの映画化権を売り買いする。業界用語で、「ピッチング」と言う。アイデアをもった人は、これをスタジオや製作会社の幹部、エージェントらに聞かせる。採用されると、契約を結ぶ。前払い金、使用料、クレジットなどを合意する。そして、脚本の準備に入る。製作過程上、「ディベロップメント」と呼ばれる。もし、アイデアが採用されず、盗用された場合、どういった法的手段をとることが可能か? バックワルド対パラマウントの裁判がそれだ。エディ・マーフィー主演の映画「星の王子、ニューヨークに行く」のアイデアを考えたのは、アート・バックワルドというコラムニスト。彼のアイデアを採用して、映画を作った場合、パラマウントはバックワルドに対し、契約金とネット収益のパーセンテージを支払うという契約を交わした。パラマウントはバックワルドのアイデアを使って映画を作ったが、契約金を支払わなかったので、訴訟となった。バックワルドの弁護士は、パラマウント相手に契約違反に基づく損害賠償訴訟を提起した。アイデアだけでは著作権法で保護されないので、著作権侵害にはならないからだ。 アイデアをピッチングする人は、採用されれば使用料を支払ってもらえるであろうと期待している。こういった期待が合理的な場合には、人のアイデアを無償で使用することはできない。契約書にサインしていない場合でも、他人のアイデアを映画化したら、それ相応の使用料を支払わなければならないということだ。 5.脚本が盗用されたら? 脚本は、アイデアと異なり、著作物として保護されうる。脚本が盗用された場合、著作権の侵害となる。著作権侵害訴訟で勝つためには、原告(盗用された側)の脚本が先に出来上がっていること、被告(盗用した側)がその脚本を読んでいること、そして双方の脚本が重要な部分で類似していること、を証明しなければならない。原告と被告が逆の場合もありうる。著作権の登録は大切だ。 6.製作者側の対応策 アイデアを聞くだけで、または脚本を読んだだけで、訴訟に巻き込まれては困る。製作者側は、エージェントや弁護士のついていない原作者のアイデアや新人の脚本家からのピッチングは受け付けない、という対策をとるところが多い。それでもアイデア・原作盗用のクレームは後をたたない。 映像新聞2000年7月24日掲載 (c) 2000 Midori Mahl All Rights Reserved |
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