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スタジオ全収益の50%占める
1.世帯平均で毎月3本の映画ビデオをレンタル
アメリカでは、一般家庭の92%がビデオ・デッキをもち、一世帯で毎月平均3本の映画ビデオをレンタルしていると言われる。年間157億ドル(1999年度の統計)のホーム・ビデオ・マーケットのうち、レンタル・マーケットは、年間約82億ドルの収益を上げている。また、セルのマーケットは、年間75億ドルの売り上げとなっている。映画の劇場収益は年間55億ドル、テレビ放映収益は100億ドル、ペイ・パー・ビューが10億ドルといわれてる。ホーム・ビデオからの収益は、ハリウッドのスタジオの全収益の50%以上を占めており、経営の根幹を支えていると言えよう。
2.家庭録画はフェア・ユースと最高裁が判決
世界で最初のビデオ・デッキを発表したのはソニー。1975年11月、ソニーはベータマックス方式のビデオ・デッキをニューヨークで最初に発売した。当時の値段で、2,295ドル、空テープの録画時間は1時間。
「『刑事コロンボ』を見ながら、『刑事コジャック』を録画できます。」というソニーの宣伝を見た当時ユニバーサル・ピクチャーズ社長のシャインバーグ氏は、ベータを使って録画することは著作権侵害に当たると判断し、ソニーに対して、ベータを市場から回収するよう要求した。ベータの回収か、ロイヤルティーを支払え、もしくはソニーを著作権侵害で訴えると主張した訳だ。
これに対して、ソニーはユニバーサルの主張は根拠なしとして、その要求に従わなかった。ユニバーサルは他のスタジオに協力を求めたところ、ディズニーがユニバーサルの側についた。そして、1976年11月、ユニバーサルとディズニーは、ソニーに対して著作権侵害の訴訟を提起した。
1979年10月、第一審裁判所は著作権侵害なしと判断し、ソニーに軍配を上げた。これを不服としたユニバーサル側は直ちに上訴。訴訟は1984年1月の最高裁判所の判決がでるまで続けられた。
訴訟係属中でも、「ビデオは売れる」と判断したいくつかのスタジオは、ライブラリーをどんどんビデオ化し始た。1977年には、20世紀フォックスが50作品をビデオ化のライセンス契約を結び、タイム・ライフ社もビデオのマーケット・テストを行った。ミニ・スタジオも遅れまいと500作品をビデオ化した。ビデオ・マーケットの発展に一躍かったのは、実はポルノ映画だった。なんと、1978年当時のビデオ・タイトルの大半はポルノ映画。1979年には、パラマウント、ワーナー・ブラザースといったメジャー・スタジオがビデオ・ビジネスに入ってきた。訴訟中に、ビデオ・デッキにも新しい方式が発表され、1977年にJVCが採用したVHS方式が主流となり、現在にいたっている。
1984年、アメリカの最高裁判所は、「家庭での録画はフェア・ユースであり、著作権侵害にならない」と判断し、ユニバーサル対ソニーの裁判は集結をみる。
3.99年のDVDソフトの収益は5,300万ドルへ
ビデオ・マーケットはレンタルとセルの2つの市場から成り立っている。従来は、レンタルが圧倒的に強いマーケットだったが、現在では、レンタルが安定し、セルの方が伸びつつある。将来的にはセルはレンタルと同レベルの収益となると予測されている。
「レンタルは従来のビデオ・カセットで、セルは高度の画質・音声で、収納場所をとらないDVDで」というアイデアからDVDがアメリカで誕生したのはつい最近のこと。
コンテンツを供給するスタジオ側としては、DVDがディジタルであるため、海賊版の普及を促進するのではという懸念が強く、スタジオとハードメーカーとの間での合意が難航した経緯がある。最終的には、著作権保護優先、地域コーディングで合意され、1997年4月からDVDのハード、ソフトがともに販売されることになった。立ち上がり当初は、ワーナー・ブラザースと、ハード・メーカーを親会社にもつソニー・ピクチャーズが中心となって、映画タイトルのDVD化を推進した。その他のスタジオはというと、当面の成り行きを見ながらDVDマーケットに参入するかどうかを決めるという傍観者をつとめていた。
現在では、ハリウッドのすべてのスタジオが映画をDVDで販売しており、高画質・高音質を誇るDVDには、VHSにない特別版としてデイレクター・カット、映画の予告編、NGなどのフッテイジ、出演者の紹介などの余禄がついており、これが映画ファンの楽しみとなっている。
アメリカではすでに145万台のDVDプレイヤーが出荷されており、2,100の映画タイトルがDVDで販売されている。当初セルのみを対象としていたDVDだが、大手ビデオ店ではDVDをレンタルし始めており、DVDプレイヤー世帯では、年間平均18本のDVDがレンタルされている。1999年のDVDソフトからの収益は5,300万ドルと予想されており、この数字は伸びつづけるであろう。
4.レンタル活性化へ卸売価格を1/10に落とす
DVDによって活気づいたホーム・ビデオ・マーケット。更にビデオ・レンタルからの収益を増やすために考えだされたのがレベニュー・シェアリング。
アメリカでは、映画が劇場公開されてから6ヶ月後にホーム・ビデオとしてレンタルもしくは販売される。その後45日から90日の間で、ペイ・パー・ビューとなる。ビデオはビデオ店に並んでから約60日間が商戦だ。ヒット作品のビデオをレンタルしようと思ってビデオ店に行ったけど、すでに誰かがレンタルしていて、在庫なしという経験をされた方も多いでしょう。こういった状態が続くと、ビデオ店への足が遠のいてしまう。コンテンツを供給するスタジオとしては、より多くのビデオを店頭に並べてもらうことが、より多くの顧客を満足させ、よっては収益アップにつながる。
レベニュー・シェアリングは、スタジオがレンタル用の卸価格を10分の1に落とし、その代わりそのビデオがレンタルされるたびに、レンタル料のパーセンテージをとるという収益参加形式レンタル方式だ。ビデオ店としても、安い値段でヒット映画のビデオをより多く店頭に並べることができるし、顧客のニーズに答えることができるので、双方にとって利益となる。現在ではすべてのスタジオがレベニュー・シェアリングを行っており、ブロックバスター、ハリウッド・エンターテインメントなどの大手ビデオ・レンタル店が参加している。
5.ビデオ・オン・デマンドが変える家庭市場の将来
ビデオ・デッキが市場に紹介されてからの20年間、ビデオ・マーケットは急成長を遂げてきた。 DVDの普及、レベニュー・シェアリングにより、ビデオ収益がアップし、スタジオの安定した収入源となっている。しかしながら、アメリカではビデオ・マーケットは飽和状態に達した感が強く、将来はいままでのような顕著な成長率を維持するのは難しいのではないかと予測されている。ブロードバンドの技術がビデオ・オン・デマンドを可能にする将来、ビデオ店に足を運ばずに映画を注文することができるシステムが、ビデオ業界にどういった影響を与えるのであろうか。人々の生活パターンの変遷と嗜好がマーケットを決めて行くことになるのであろう。
映像新聞1999年11月29日掲載
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