|
|
弁護士 ミドリ・モールのインタビュー・コーナー |
||||||||||||
|
|
|
||||||||||||
|
|
「パルコフィクション」矢口監督X鈴木監督 「パルコフィクション」は、渋谷パルコを舞台にした短編5本のオムニバス形式からなる新作映画。矢口史靖氏が「第1話:パルコ誕生」「第2話:入社試験」そして「第4話:バーゲン」の脚本と監督を、鈴木卓爾氏が「第3話:はるこ」と「第5話:見上げてごらん」の脚本と監督をそれぞれ担当した。上映時間は65分。7月20日から、DLP方式プロジェクターを設備したシネクイント(渋谷パルコ3・8階)でデジタル上映される。
写真:矢口監督(右)X鈴木監督。 「パルコフィクション」誕生のきっかけ 今から3年前、矢口・鈴木両監督が製作も兼ねた短編映画集「ワンピース」がトロント映画祭で招待上映された。現地でも好評だった。カナダでこの映画を試写したパルコのプロデューサー安田裕子さんは、「こんなおもしろい映画をつくる人たちがいるんだ!」と感激して、両監督に声をかけたのがきっかけだった。そのときは、「何かいっしょに作りましょうね」と言って別れた。そしてついに「パルコフィクション」となって実現した。
製作過程 トロントから帰国して、矢口・鈴木両監督は、安田さんとの間でいくつかの映画企画を出しあった。生まれては消え、すぐには実現しなかった。安田さんとの企画で、「『パルコを舞台に映画を作りましょう。』という正式な依頼があったのは2001年の末だった」(鈴木監督)。今年の2月頃から、矢口・鈴木両監督は、「パルコ」をテーマに脚本をいくつか起こし、それらをつなぎあわせて、「パルコフィクション」の土台ができあがっていった。映画製作に必要な資金は、プロデューサーである安田さんが集めた。デジタルシネマの拡大を狙い、上映環境を提供しようと試みていたパナソニックがデジタル機材を提供してくれた。絶妙なタイミングだ。「パルコフィクション」の撮影には、パナソニックのDVCPRO HD720Pバリアブルフレームレートカムコーダーが使用された。デジタル上映できる設備を備えた劇場は、まだ日本には10箇所くらいと数少ない。シネクイントは独立系単館劇場としては日本初の試みだ。「パルコフィクション」は、将来のデジタル市場を視野に入れ、デジタル映像機器やプロジェクターを販売しているパナソニックとの実験的な共同事業だ。撮影期間は、3月末から4月初めの間の12日間。製作費については公開されていない。「パナソニックとのタイアップのおかげで製作費を圧縮することができた」という(安田さん)。タイアップなしだと、アバウトだが数千万円の製作費がかかるようだ。 デジタル撮影の特質 「突入せよ!あさま山荘事件」や「模様犯」といった邦画でも、従来のフィルム撮影ではなく、デジタルカムコーダーが使用され話題となった。デジタル撮影について、矢口監督は「撮影にかかるコストが安いこと、デジタル合成がしやすいのが特徴だ。」とその利点を説明する。できあがりの質感はフィルムと変わらないそうだ。鈴木監督も「デジタルカメラを使用することにより、人件費と機材費を削減することができる。フィルムカメラ同様、光の露出を計測して撮影するという発想をそのままデジタルカメラでも可能にしているので、いままでフィルム撮影していた人たちでもすぐに慣れることができ、使いやすい設定になっている」と、デジタルカメラの利点を語る。デジタル撮影の映像とフィルム撮影の映像の違いは、素人にはわからないくらい近い出来上がりとなっているそうだ。 「パルコフィクション」の第2話「入社試験」に、主人公花子と東大男が「パルコ」の看板から首を出している場面がある。「まず『パルコ』の看板を撮影して、ハードディスクに取り込んだ。ブルーバックの板に穴をあけて、その穴に顔を差し込んでもらった。実際そこにカメラをすえて、モニターに前に撮影した看板の絵を重ねてみて、カメラの位置の角度をあわせて合成した。デジタルカメラだと撮影しながら、その場でデジタル合成の結果を確かめることができる。細かいすりあわせは撮影後のポストプロで行う」(矢口監督)。デジタルならではの合成技のようだ。 デジタル撮影のクオリティは、フィルムで撮影された映像に限りなく近づいているようだ。しかし、どちらを選ぶかという選択肢になると、結局製作者の好みになる。多額の製作費をかけることのできない邦画の現状を考えると、製作費の削減という利点は、製作者にとって大きな判断要因となる。あとは、デジタルで撮影された映画を、デジタル上映できるよう興行主がインフラを整備していくことが課題となろう。 (映像新聞2002年8月5日号掲載) For More Information |